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子供の頃、ドアの細い隙間の向こうの暗闇が怖かった。
その暗闇には未知なるものが潜んでいて、じっとこちらを見ているかもしれない。

子供の頃、誰もいない部屋に響く音が怖かった。
その音は未知なるものが鳴らしていて、自分の背後にいるかもしれない。

聞き耳をたて、背筋の神経をピンと尖らせた。
気付きたくない、と思うほどに、五感が研ぎ澄まされてゆく。

暗闇や背後。
人は見えない場所に不安を抱く。
じっとりと汗をかき、神経はショートし、それは恐怖となる。
見えざるものが見え、聞こえざるものが聞こえる。
幻覚。幻聴。それは狂気。

昼は夜となり、夜は昼となる。
天は地となり、地は天となる。
満ちたものは欠け、欠けたものは満ちる。
彼方は此方にあり、此方は彼方にある。
未来は過去となり、過去は未来となる。

その狂 気 の世 界の
未 知の 向こう には何 が あ る と オ モ u ?