1月17日5時46分、
あの日を体験した神戸や阪神間の人々にとって特別な時です。
1995年1月17日、
私は東灘区の自宅で被災しました。
当時私は学生で、明日提出の課題を徹夜で作っていた。
机に向かっていたとき、地響きが鳴りはじめ、
あの恐ろしい地震がやってきた。
とっさに机の下に潜り込んだ。
フッと明かりが消え、暗闇の空間は轟音とともに揺れ続けた。
まるで巨人が家を掴み、振り回しているようだった。
聞いたことのない自分の悲鳴を聞いた。
体験したことのない揺れに、地震とわからなかった。
揺れがおさまり、あたりは闇だった。
私はうずくまったままだった。
ドアの向こうからガタガタと音が聞こえた。
父母の部屋からだ。
タンスが動いて、ドアをふさいでいた。
名前を呼ばれたかどうか覚えていない。
ただ「今の地震！？今の地震！？」と私は何度も言っていた。
地震だとは思えないほどのものだったのだ。
仄明るくなってくると、周囲の様子が見え始めた。
酒屋であった自宅は建ってはいたものの壁が抜け、
床が見えぬほどに全てのものが散乱し、
父の布団の上にタンスは倒れ、
ブラウン管の大型テレビは部屋の中央まで吹き飛んでいた。
店に出てみると、ガラス瓶の酒や醤油などはことごとく落ちて割れて、
床を埋め尽くし、混じりあったにおいがムッと立ち込めていた。
いくばくかすると、街の人々が食べ物を求めてやってきた。
店が開けられないので、自宅の玄関から手渡していった。
空には無数のヘリが飛び、バリバリと叫ぶような騒音を巻き散らしていた。
人々はお互いに気遣い助け合っていた。
混乱の中に、人間の強さと優しさがあふれていた。
あの地震を体験しながらも、私も家族も親しい人々も、みな生きていました。
それはとても偶然でとても幸運なことでした。
些細なことで、人々の命運が分かたれました。
先日の日曜日、神戸ハーバーランド近くに行きました。
講座の休憩時間、みなでランチを食べ終えて歩いていると、
どこからかリンゴンリンゴーンと鐘の音が聞こえました。
音の方向を見ると、そこでは結婚式が行われていました。
若い男女が多くの人々に囲まれ、祝福されていました。
せーの、の声とともにカラフルな風船が空に放たれました。
その風船は、青い空の向こう遠く遠くへと飛んでいきました。
もしどこかの地に降り立ったなら、ともに飛ばされた種子がいつか根を伸ばすでしょう。
さまざまな思いを抱え、それでも人は未来にしか進めない。
小さくても笑顔と祝福がここにあるのなら、それを信じてみるのもいいだろう。
その若い男女の笑顔を思い出し、私はそう感じている。
